Factoria

■『ファクトリア』お客様に聞く – 日本テクノロジーソリューション

日本テクノロジーソリューション 代表取締役社長 岡田 耕治 氏に、本社兼工場の建設をタカヤに依頼した経緯とその効果について詳しく聞きました。

(日本テクノロジーソリューションについて)

日本テクノロジーソリューション(以下 NTS)は兵庫県神戸市を本拠とするソリューション企業です。主な事業分野は「包装機械」と「放送企画」。創業1976年。神戸本社のほか、国内3拠点、台湾1拠点。

(※ この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています)

■ 目標を達成するための新社屋

− 今回の本社兼工場を建設した目的について教えてください。

弊社は2015年にタカヤに依頼して、工場の建て替えを行いました。新工場は、一階が作業場、二階は事務所、休憩室、手洗い、更衣室、シャワー室という構成です。

今回の本社兼工場は、その目的を達成するために建てました。ここがNTSの事業戦略、世界戦略の発信基地となります。新社屋のコンセプトは2つ、「ひとをつくること」、そして「魅せる場所であること」です。

新社屋の紹介動画

■ 「どんな事業も永遠ではない」

− コンセプト1、「ひとをつくること」とは具体的には。

これは根本のところから説明しましょう。

私は「どんな事業も永遠ではない」と考えています。

30年前、弊社は「テレビ用ブラウン管検査装置の製造」を主事業としていました。当時テレビは「家電の王様」であり、弊社の経営も大いに安定しました。しかしTVが液晶化すると同時に、ブラウン管検査という事業も「消滅」したのです。日本製ブラウン管が消滅した日の複雑な気持ちは今でも忘れられません。

ではどうするのか、座して死を待つか、新しい道を模索するか。試行錯誤の末に見出した活路が、現在の弊社の中核事業である「包装機械分野」でした。

■ 「ひとが先、事業はあと」

− なぜ包装機械を選んだのですか?

「ブラウン管の検査」という仕事は、「価値決定権がない」ことが弱点でした。そうした仕事は、元請けから絶え間なく値下げ要求を受けるのです。しかし包装、すなわち「商品のパッケージ」ならば、最終的に店頭に並ぶ商品の「見栄え」を良くするという意味で、付加価値が付けられます。ここに賭けてみようと決意しました。

そして開発したのが特許取得の包装機械、「TORNADO」です。TORNADOは、どんな変わった形の容器にもピッタリと包装できるという熱旋風式のフィルム装着が特徴です。これならクライアントに対し「TORNADOを使えば、消費者にアピールする斬新な商品パッケージが可能になります」と、付加価値をアピールできます。

この狙いは的中し、おかげさまでTORNADOは、P&G、ネスレ、花王など、マーケティング志向の企業に多く導入され、異形パッケージの包装機械の分野で確固たる地位を築くことができました。

だけど私は安心できません。もちろんTORNADOはお客様のニーズがある限り継続、改善していきます。しかし「包装は永遠なり」とはどうしても思えないのです。現在、弊社が放送企画をはじめ、多くの事業分野に進出しているのはそのためです。

事業を作り出す原動力は、疑いもなく「ひと」です。TORNADOを開発したとき、弊社には包装の経験もノウハウもゼロでした。それでも商品を生み出せたのは、すべて「ひと」の力です。「ひと」さえ育成できていれば、どんな危機も乗り越えられる。つまり「ひとが先、事業はあと」なのです。

今回、建設した新本社も、「ひとをつくること」、「ひとが幸せに、いきいきとはたらけること(健康経営)」を目指して構想しました。

■ 言葉をつかわず、魅せる

− コンセプト2、「魅せる場所であること」とは。

いまNTSでは「包装機械」と「放送企画事業」の2つが事業の柱です。企業のプロモーション戦略に関わる放送企画は、一見、包装機械とまったく違う事業に見えますが、実はどちらも「魅せる」という点で共通しています。包装とは、「パッケージを通じて商品を魅せること」、広告とは「映像や媒体を使って、企業・商品を魅せること」だからです。

このように「魅せる」を基軸に事業を展開する以上、社屋もまた「魅せる」ものでなければいけません。商談に来た取引先、採用面接に来た志望者、そして何よりも働いている私たちがまず魅せられる、そんな空間である必要があります。

「魅せる」ために、言葉は不要です。今後は日本語の通じない海外で事業展開するのですから、なおさら言葉に頼らずアピールすることが重要です。私たちが何も言わずとも、この社屋に来るすべての人に、私たちの思い、夢、意気込みが自然に伝わっていく、そんな工場にしたいと構想しました。

■ どんな社屋を建てたのか

− 新社屋の具体的な仕様、内容について教えてください。

それぞれの箇所につき、順に説明いたします。

1.「外観全体」

外観は、タカヤの提案により「黒」を基調にしました。新本社は、NTSの戦略の「発信基地」です。この外観はその構想によく合っています。

タカヤからコメント

この建物は、建物正面の黒いコの字とキャノピー部分の小さな白いコの字を組み合わせるデザインとし、造形全体に抜け感を演出しています。

このデザインでは外側の黒と同じくらい、正面の白い部分が重要です。最初は全てを黒くする案もありました。しかし、そうした「黒い箱」では閉鎖的な印象になってしまい、社長が掲げる「国内外へ広く飛び出すための発信基地」としてふさわしくありません。そこで工場の正面と、海に面した裏側部分は、ガラスを大きく取って、白く、明るく、開放的に作りました。

2.「海に面した社屋背面」

この社屋の背面は、瀬戸内海と神戸空港に面しています。タカヤからは、2階をすべてガラス張りにしてテラスを設け、海と空港を一望するという案が出されました。これも素晴らしいデザインです。ここから海を見ているだけで、「よし、海外に出るぞ」という気持ちに自然になれます。

  • 「社屋背面」

  • 「瀬戸内海と神戸空港が一望できる」

タカヤからコメント

表面の玄関口から海の見える社屋背面までは、広い廊下が一気に突き抜けるつくりにしました。今回の設計では、多くの部屋がガラス張りになっています。日本テクノロジーソリューションは風通しの良い、開放的な社風なので、それにふさわしいデザインにしたかったのです。

3.「ワンハンドレッドカフェ」

海に面した2階には、「社員の仕事場」、「休憩所」、「全体会議室」、「外部向けセミナールーム」など多目的に使えるカフェ風スペース、「ワンハンドレッドカフェ」を設けました。この空間は「3年後には社員100人体制にしたい」「全員が集える場所がほしい」という私の言葉に応じて、タカヤから提案されたものです。

4.「メインステージ(業務スペース)」

こちらは社員の業務スペースです。ここもガラス張りです。新しい社屋は、ひたすら開放的です。

5.「工場に隣接したショールーム」

こちらは一階の工場部分に隣接したショールームです。ここもガラス張りで、打ち合わせをしながら、TORNADOの組み立て風景を見ることが可能です。工場そのものを「魅せる」ための設計です。

6.「Wa-Room(和風応接室)」

和風の応接室は、私たちの海外進出の意志を伝えるためのデザインです。ただそう言うと「和の空間で、海外の取引先にアピールしようとしているのだな」と思われがちですが、そうではなく、実は国内の取引先へのアピールを狙って作った部屋です。

こうした和風の応接室が、本当に海外のお客様に好まれるのか、実は不明です。しかし、国内の日本人のお客様をこの部屋に通せば、「この会社は本気で海外進出を狙っているのだな」と確実に伝わるでしょう。それが本当の狙いなのです。

7.「パウダールーム(女性用化粧室)」

タカヤからは、化粧直しのスペース(パウダールーム)を十分に設けたデザインが提案されました。男性の私には分かりませんが、女性は、出社したとき、昼休みが終わったとき、退社するときなど、身なりを整えたいタイミングが1日に何度もあるそうです。そんなときでも順番待ちにならないよう、多人数が一度に化粧直しできるよう十分なスペースが確保してあります。

NTSは現在、社員30名のうち16名が女性です。特に女性を重視しているわけではなく、「男女の区別なく、人物重視で採用した場合、必然的に男女数が半分になった」というのが正直なところです。従来の工場は良くも悪くも「男性的な空間」ですが、今回の新社屋は、随所に「女性目線」が取り入れられています。

今回のデザインと設計は、タカヤの女性お2人にご担当いただきました。このパウダールームなどは、女性ならではの発想だと思います。こうした細やかな気遣いは、採用面接で弊社を訪れた女性志望者が化粧室に入ったとき、さりげなく、しかし確実に、弊社の姿勢が伝わってくれるような気がします。

8.「ライブファクトリー(工場スペース)」

天井高を十分に取った、開放的なデザインです。タカヤによれば作業するのに必要な高さを確保するために、空調など各種パイプは梁のラインよりも下に出ないような配管計画にしたとのことです。

■ ゼネコン選定の経緯、タカヤへの評価

− 今回の本社建設のゼネコン選定の経緯、およびタカヤの仕事への評価をお聞かせください。

2015年に本社移転を決意し、それからゼネコンを探し始めました。当初は大阪の中堅ゼネコンA社に依頼する予定でした。しかし、その会社の提案は「デザイン性」「機能性」は優れているものの、「コスト」がこちらの上限を大幅に超過していたので、結局、見送りとなりました。

タカヤを知ったのは、東京で開催された展示会(FOOMA)に情報収集に行ったときです。「デザインとブランドを重視した工場作り」というコンセプトに関心を持ちました。その後、タカヤの大阪支店に連絡し、まずは提案してもらうことにしました。このときタカヤには「女性目線」「健康経営」「3年後の社員100人、売上げ30億」というキーワード3点を伝えました。

このときは「普通の工場は提案しないでほしい」「デザイン重視で」とは言わず、あえて「女性目線で」という言葉を使いました。「普通ではなく」と求めると、機能性や使い勝手を無視した「奇抜なデザイン」が提案されてくる可能性があるからです。しかし「女性目線で」と伝えれば、「女性の厳しい審美眼に耐えうるデザイン性」「実用性、快適性への細やかな気遣い」を備えた提案が来ると期待できます。

さらに「健康経営」「社員100人、売上げ30億」というキーワードを通じて、「社員の健康、働きやすさに気をつかってほしい」「成長志向の社屋にしたい」という願いを伝えました。

そして2週間後、タカヤから素晴らしい内容の提案がありました。価格も十分に納得のいくものだったのでタカヤに決定。そして3年後の2018年3月に、ここまで紹介したような素晴らしい社屋を建てることができたわけです。

今回、中心的に活躍してくださった設計の安東さん、インテリアコーディネーターの藤原さんのお二人に深く感謝いたします。また諸々のコーディーネートをバランスよくまとめてくださった大阪支店の藤原さんにも感謝申し上げます。今回、タカヤに工場建設を依頼して本当に良かったと思います。

■ 先輩ユーザーとしてのアドバイス

− いま、工場や社屋の建設を計画している経営者に向けて、先輩ユーザーとしてのアドバイスなどあればお聞かせください。

技術力や実績は当然として「ひと」が良い会社を選ぶのが大事だと思います。徹底的に話し合える相手じゃないと、自分の理想の工場は建てられません。

自分の理想の工場を建てるには、まず施主であるこちらが、「自分の理想を言葉にして建設会社に伝えること」が不可欠です。それをせずに「お手並み拝見」のような気持ちで提案を求めても、良い結果にはつながりません。自分は、これから会社をどうしたいのか、何がやりたいのか、その想いを建設会社に真摯に伝えること、それが重要だと私は考えます。

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