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工場の改修・改善

工場・倉庫のクレーン設置で知っておくべきこと【メリット・種類・費用・時間・運用など】

工場でクレーンを使用することにはメリットが多くあります。導入を検討している企業のご担当者様も多いでしょう。しかし工場・倉庫新築の際にクレーンを設置するにあたっての選定基準や、設置後のメンテナンスなどわかりにくい部分もあるのではないでしょうか。
この記事では、クレーン設置を検討する際に必要な情報をまとめました。工場でのクレーン使用を検討中ならぜひ参考にしてみてください。

クレーン設置のメリット

クレーンを設置するメリットは、重量物やサイズの大きいものなど人力では移動できないものの移動が可能になり、作業効率が大幅に向上することにあります。
さらに、クレーンを導入することによって扱える商品の幅が広がり、ビジネスのチャンスも広がります。また取扱商品の種類が増えることで、一部の商品に依存することを避けることが可能です。取扱商品のいずれかに問題が発生したときも、リスクヘッジになります。

工場・倉庫に設置できるクレーンの種類

クレーンにはさまざまな種類がありますが、その中で工場や倉庫に設置できるクレーンについてまとめます。具体的には、次のようなクレーンが挙げられます。

・天井式クレーン
・橋形クレーン
・壁クレーン
・テルハ
・スタッカークレーン

それぞれ規模や設置方法、用途などが異なります。用途や扱う資材、工場の環境などによって自社の事業に合った種類のクレーンを選ぶ必要があります。

それでは、1つずつ見ていきましょう。

クレーンの種類|天井式クレーン

「天井式クレーン」は、天井に近い高さをクレーンが通るタイプです。工場で最も一般的なクレーンだと言えるでしょう。いろいろな分類方法があり、さらに細かくいくつかのタイプに分けることができます。

一般的な「クラブトロリ式」は、レールと桁・台車を使うタイプです。工場屋内の向かい合う壁面にランウェイ(レール)を1本ずつ設置・固定し、ランウェイ同士の間に移動できるガーダー(桁)を渡します。ガーターの上をトロリ(台車)でクレーンが移動します。

そのほか、梁に設置したレールにクレーン本体を懸垂させる「サスペンション型」、トロリを使わず電動ホイスト(巻き上げ機)などを使用した「ホイスト式」などがあります。

天井式クレーンは、巻き上げ(垂直方向の移動)・走行(レールに沿ってガーダーごと移動)・横行(ガーダー上のトロリが移動)が可能です。線上の移動だけでなく、レールとガーダーの通してある範囲なら面状にどこでも移動することができます。

一般には柱などにランウェイを設置するため、建物の強度が重要となります。ただし建物に設置するのではなく鉄骨で架台を組む独立型もあります。独立型は建物の強度に関係なしに設置可能です。

クレーンの種類|橋形クレーン

「橋形クレーン」は、地上にレールを設置し、その上を橋形に組まれた脚付きのガーダーが移動するタイプです。2本のレールを地上に設置する「橋形クレーン」のほか、レールの片側を地上・もう片側を建屋に設置する「片脚橋形クレーン」があります。片脚橋形クレーンは、脚が1本でカギカッコ型(「)のガーダーが移動します。

埠頭など屋外に多いタイプですが、工場でも建物の強度がない場合に活用されます。また天井クレーンの独立型と似ているようですが、両者は異なります。橋形クレーンはレールを地上に設置するのに対して、天井クレーンの独立型は架台の上の高いところにレールを設置します。ガーダーの形状も異なります。

クレーンの種類|壁クレーン

「壁クレーン」は、建物の壁や柱に水平なジブ(腕、竿)を設置するタイプのクレーンです。ジブの先端にクレーンが固定されている固定式のほか、ジブに沿ってトロリが走行する可動式などがあります。ジブの多くは旋回が可能です。旋回ではなくレール上をジブが走行するタイプもあります。

重量のあるものより軽量・低容量の荷物に向いています。比較的設置しやすく、天井クレーンの補助的に使われることが多くあります。

クレーンの種類|テルハ

「テルハ」は、天井近くのレールに巻き上げ機を吊り下げたタイプです。垂直方向の巻き上げと、レール上の横行のみ可能です。

レール上を線状にしか移動できませんが、レールは直線だけでなく曲線にすることも可能です。作業範囲が限られる点はデメリットですが、取り扱いが容易というメリットがあります。

クレーンの種類|スタッカークレーン

「スタッカークレーン」は、荷物を吊り下げるのではなくフォークリフトのようなフォーク作業を行うためのクレーンです。用途も見た目も一般的なクレーンのイメージとは異なり、ここまでに紹介したものとは違うタイプになります。

床・ラック・天井などに水平方向に設置されたレールにガイドフレームを直立させます。ガイドフレームに沿ってフォークが上下します。ラック間をレールに沿って水平方向に移動することも可能です。

主に倉庫で使用され、とくに自動倉庫での導入例が増えつつあります。運転台が荷物と一緒に昇降するかしないかなど、いろいろなタイプがあります。

クレーンを設置するときの注意点

クレーンを設置するときに注意すべき点をまとめます。具体的には次の点が挙げられます。

・報告書を提出する
・用途に合わせたクレーンを選ぶ
・建物の条件・強度を確認しておく
・スケジュールは余裕を持たせる

1つずつ見ていきましょう。

設置の注意点|報告書を提出する

まず、クレーンの設置には報告書の提出が必要です。

つり上げ荷重が0.5トン以上3トン未満の場合は、設置前に「クレーン設置報告書」を労働基準監督署に提出します。移動式クレーンであれば、次の書面も添付が必要です。

・移動式クレーン明細書(製造検査済、使用検査済印のあるもの)
・移動式クレーン検査証

3トン以上のクレーンの場合は、着工の30日前までに「クレーン設置届」を労働基準監督署に提出します。クレーン明細書・組立図・強度計算書など4つの書類も同時に提出しなくてはなりません。

なお報告書や設置届は工事業者が提出することも多いので、どちらが提出するのかあらかじめ業者に確認しましょう。

設置の注意点|用途に合わせたクレーンを選ぶ

当然ではありますが、用途に合わせたクレーンを選ぶことが重要です。運搬する予定の資材や製品の大きさ・重さ、工場内での移動距離に合わせて選定します。

クレーンの性能が不足する場合は危険です。かと言ってオーバースペックのクレーンを使用すると、余計なコストがかかってしまいます。どんな資材を主に運搬するか事前に明確にしておき、適切なクレーンを選びましょう。

また移動距離や移動経路は工場内のレイアウトも関係します。作業スペースと資材の流れに合わせてクレーンを選ぶか、クレーンに合わせてレイアウトを変更するか、よく検討しましょう。

設置の注意点|建物の条件・強度を確認しておく

設置する前には、必ず建物の条件や強度を確認しておきましょう。柱や梁にレールを設置する場合は建物の強度が問題になります。建築してからから時間が経っている場合は、竣工当時の図面や構造計算書を確認しクレーンの重量に耐えられるか検討が必要です。

強度が足りない場合は、柱や梁にレールを設置するのではなく建物内に鉄骨で架台を組む独立型や地面にレールを設置する橋形にしたり補強したりする必要があります。

スペースなど条件にも注意が必要です。建物の高さによっては揚程が確保できず、希望の方式で設置できない場合もあります。賃貸の場合は、借りる前に面積だけでなく高さを含めた確認が必要です。

そのほか現状の設備が固定されていて移動できない場合など、設置スペースや作業スペースが取れるかどうかも関係しておく必要があります。

設置の注意点|スケジュールは余裕を持たせる

設置や稼働までのスケジュールには余裕を持たせましょう。

クレーンは大掛かりな設備のため、工事には時間がかかります。また前述した通り着工前に届出が必要です。

工事と届出、設置完了と稼働それぞれの間がギリギリになり過ぎないようにスケジュールを組みましょう。

クレーン設置にかかる費用とポイント

クレーンの設置は100万円を目安ですが、場合によっては500万円以上かかる場合など金額には幅があります。費用を左右するポイントについて、以下にまとめます。具体的には次のような点があります。

・クレーンの種類など
・レールの長さなど
・その他諸費用

ただしクレーンの費用については、イニシャルコストだけでは判断できません。メンテナンスなどのランニングコストや導入によって削減できる費用などを含め、全体で考える必要があります。

それでは、費用を左右するポイントについて1つずつ見ていきましょう。

ポイント|クレーンの種類など

クレーンの種類・規模・耐荷重などによって、必要となる費用は変わります。

種類で見た場合、比較的安価なのは天井クレーンです。とくにホイスト式は安価に設置できる傾向にあります。比較的高価なのは橋形クレーンです。ガーダーに使用する素材の量が多いため、材料費が余計にかかるためです。高価なのはスタッカークレーンです。ほかのクレーンに比べて設備が大がかりになる分、どうしてもコストがかかります。

そのほか、当然ですが一般には耐荷重が大きくなるほど費用がかかります。ただし前述の通りイニシャルコストだけは判断できません。イニシャルコストは投資と捉えて、ほかの要素も含めて種類や規模を比較検討しましょう。

ポイント|レールの長さなど

ある意味で規模だとも言えますが、レールの長さや範囲も費用に影響します。長いほど、またテルハはレールの形状が複雑なほど費用が膨らみます。

またレールの種類によっても費用が変わります。一般的な天井クレーンは、ガーダーをレールの下に吊り下げるのではなくレールの上に設置する「オーバーヘッド型」というタイプです。オーバーヘッド型は、レールが1本のシングルレール形と2本のダブルレール形に分かれますが、ダブルレール形の方が構造が複雑なため費用がかかります。

ポイント|その他諸費用

その他にも諸費用がかかります。

まずクレーンガーダーを作るための費用があります。前述のシングルレール形とダブルレール形ではレールの数によってガーダーの数が変わるので費用も変わります。

そのほか、テストおよび微調整にかかる費用などもあります。さらに現場作業の量などによる工期の長さによっても費用が左右されます。

クレーン設置の流れとかかる時間

クレーン設置の工期は、1~3か月が目安とされます。以下に3トン以上のクレーンを設置する場合の流れを示します。

まず準備段階として、総合仮設計画図の作成とクレーンの選定を行います。着工30日前までに設置届を提出しなくてはなりません。なお軽く先述しましたが、設置届は工事会社が用意する場合が多くなります。指定された構造部分の強度計算書など、事前準備が必要な書類もあるのでスケジューリングには注意しましょう。

次に監督署の審査があり、落成検査要領の事前提出を行います。設置届と同時のことも多くあります。その場合は初めの書類の準備にさらに時間がかかることになります。

その後、落成検査があり問題なければ稼働へと進みます。

クレーン運用の注意点

次に運用を始めてからの注意点についてまとめます。次の点が挙げられます。

・定期的な検査が必要
・運転には資格・免許が必要
・安全作業を行う

1つずつ見ていきましょう。

運用の注意点|定期的な検査が必要

設置後は、定期的な検査が義務付けられています。年次自主点検と月次自主点検があり、日々の作業開始前にも点検が必要です。検査結果の報告の義務はありませんが、年次と月次の検査結果を3年間保存しておかなくてはなりません。もちろん異常があった場合は補修しなくてはなりません。

年次自主点検の内容は次の通りです。
構造部分・機械部分・電気部分・ワイヤーロープ・吊り具・基礎の異常の有無、実際に荷物を吊り下げて作動させる荷重試験

月次自主点検の内容は次の通りです。
安全装置・警報装置・ブレーキ・クラッチなどの異常の有無、ワイヤーロープや吊り具などの損傷の有無など

点検することで安全な状態を保ちましょう。

運用の注意点|運転には資格・免許が必要

運転には資格・免許が必要です。クレーンの荷重などによって、必要な資格は次の3つに分かれます。

・クレーン運転特別教育
・床上操作式クレーン運転技能講習
・クレーン・デリック運転士免許

さらに玉掛けを行う場合も資格が必要で、荷重によって2つに分かれます。次の通りです。

・玉掛け業務特別教育
・玉掛け業務技能講習

有資格者がいない場合は、担当者に資格を取得させる必要があります。

運用の注意点|安全作業を行う

クレーンを使用する際は安全に作業しなくてはなりません。

まずヘルメットなど、必要な装備を身に付けます。さらに作業環境の安全性も確保しなくてはなりません。障害物の有無や機材の状態などを確認し、問題があれば取り除きます。

作業そのものにも注意しなくてはなりません。まず資材は正しいバランスでセットします。運搬する際は、操作者やその他の人の上を通過させないようにします。作業中に異常を感じたら、すぐに作業をストップします。

悪い意味で慣れてしまわないように、正しい手順を守りましょう。

工場建設ならファクトリアにご相談を

クレーンは工場での作業効率を高めることができる設備です。さまざまなメリットがあるため、費用とのバランスを考えながら導入を検討するのがおすすめです。とくに新築の工場の場合、制限が少ない状態でクレーンの性能を最大限に活かせる環境作りが可能です。

【ファクトリア】は快適な作業環境を実現し、企業価値を高める工場を目指す「工場建設のトータルサービスブランド」です。新築でクレーン設置を考えているならぜひご相談ください。品質はもちろんですが、コスト面でも追加費用の発生を抑えています。高いコストパフォーマンスのプランのご提案と建設を行います。

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