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工場建設・建築

食品工場の建設まるわかり!注意点・必要な機能・建設費用の考え方まで

食品工場の建設は、衛生面などほかの工場にはない考慮すべき点があります。また技術の進歩のほか法令の改正や条例などにより、過去の経験がそのまま参考になるとは限りません。

この記事では、食品工場を建設する際知っておくべきことの概略をまとめます。具体的には、求められる機能・設計から建設までの注意点・費用についての考え方を説明していきます。食品工場を建設される方は、ぜひ参考にしてみてください。

食品工場建設に求められる機能など

食品工場の建築でとくに求められる機能についてまとめます。具体的には次の3点です。

・安全性・衛生
・生産性
・メンテナンス性

1つずつ見ていきましょう。

1 安全性・衛生

食品工場の建設において、当然のことではありますが安全性の確保・衛生面の配慮はとても重要です。

まず、害虫や害獣への対策が必要です。外部から侵入できないように経路となりうる場所を作らないことと、内部で発生しないように温床となりうる場所を作らないことが求められます。

ホコリにも対策しなくてはなりません。作業内容に応じてホコリを持ち込まないような構造にしたり、ホコリが付きにくい建築素材や舞いにくい設備を選んだりしなくてはなりません。

雑菌を持ち込まない構造や設備環境も必要です。もちろん内部で繁殖することのないような環境づくりも求められます。

さらに異物混入対策として、衣服などに付着した異物を持ち込まないような設備・構造、工場内の建築素材選びが必要です。

以上のような製品の安全性・衛生のほか、作業の安全性も求められます。製造する食品によっては素材を切断したり加熱したりする工程があることでしょう。そういった工程も安全に作業できなくてはなりません。

2 生産性

さらに、高い生産性を持つことも求められます。食品の製造は、生産性を高めるのが難しいとよく言われます。実際、食品製造業の労働生産性は製造業全体の約60%にとどまっています。

製品によっては季節による変動が大きく、生産性を高めるのが難しい場合もあります。例えば、インスタントラーメンやアイスクリームは季節による消費量・生産量の増減が激しく、通年で安定的に生産することができません。それにより生産性が低くなってしまいます。

しかし、それだからこそなおさら工場は高い生産性が見込めるように建設しなくてはなりません。集中的に生産できる時期に効率よく生産することが求められるからです。作業手順や動線の効率に即したレイアウトなどが必要となります。

3 メンテナンス性

安全性ともかかわりますが、メンテナンス性が高くないと製品の品質に大きな問題が起こる可能性があります。またメンテナンスに時間・手間がかかる場合は生産性にもかかわります。

具体的には、まず壁や天井の耐水性があります。さらにひびは細菌の発生源となりうるため、床のひび割れ防止も必要です。また素材ということでいうと、金属部分も錆びにくいステンレスにするとメンテナンス性が高まります。

さらに近年では清掃しやすく・ホコリが溜まりにくくなるように、壁と床の接点にアールを付けるなどの工夫がされています。

さらに排水溝や排気口はクリーニングがしやすいような構造にします。また排水溝より排水桝の方が衛生上の管理・メンテナンスが容易です。

食品工場建設の注意点

次に、食品工場を建設する際に注意すべき点をまとめます。ここでは次の5つの点についてまとめます。

・立地
・ゾーニング・構造
・空気の流れ
・温度管理
・製造設備など

1つずつ見ていきましょう。

注意点1 立地

工場周辺の環境や立地は、工場の衛生や安全性を左右します。

害虫や害獣(ネズミなど)がいない場所を選ぶ必要があります。飲食店が近いと、害虫・害獣がいる可能性が高まります。飲食店街の近くは避けましょう。

さらに煤煙・塵埃の量など外気のクリーンさも問題となります。近隣にほかの工場がないかを確認しましょう。ある場合は距離はどのぐらいか・年間を通じて風向きはどちらからどちらに流れるかを確認します。ただし工場で製造しているものによります。煤煙を排出しない工場であれば問題ありません。

そのほか、土地の水はけなどもチェックします。高低差による排水のしやすさなどを確認しましょう。

製造に水を使う場合は水質も確認します。どこまで土地選びが自由にできるかにもよりますが、名水で知られた土地ならイメージアップにも有効です。

注意点2 ゾーニング・構造

工場内のゾーニングも重要です。食品工場の衛生管理では、「人」「物」「空気」の動き・流れに注意を払います。ゾーニングはこのうち「人」「物」の流れをコントロールするものです。作業者が作業する工程や手順をもとにしてレイアウトを設計します。

ゾーニングは次の3つの区域に分けて衛生管理を行います。

・汚染区域…外部と接触のある区域(例:検品室・材料保管庫・廃棄物保管庫・下処理室など)
・準清潔区域…計量・仕込み・加工などを行う清潔度が求められる区域(例:仕込み室・調味料調合室など)
・清潔区域…最も高い清潔度が求められる区域(例:盛り付け室・包装室など)

汚染区域と清潔区域が隣り合わないようなレイアウトとし、入荷から出荷までの流れが「汚染区域→準清潔区域→清潔区域→準清潔区域→汚染区域」となるのが理想的です。より清潔度の高いところへ入る境目に前室を用意し、粘着テープやエアシャワーで異物混入を避けます。

トイレの位置は清潔区域から離します。作業の効率を考えると非効率ではありますが、衛生を優先します。

そのほか、建物の構造や設備については外壁に窓を付けないことも、衛生管理において有効です。虫の侵入・ホコリが舞う・結露をすべて防ぐことができます。

注意点3 空気の流れ

「人」「物」はゾーニングで管理しますが、「空気」の流れは換気や空調の設備でコントロールします。最も清潔な区域から清潔度の低い区域に向かって空気が流れるような計画作りが求められます。

具体的には、「清潔区域→準清潔区域→汚染区域」の順に空調や給排気で陽圧(気圧を高くすること)とし、清潔度の高い区域から低い区域へと空気の流れを作ります。

そのほか、換気扇は虫の侵入経路となる場合があります。フィルターを取り付けたり、設置する位置に注意してゴミ箱の近くは避けるなど工夫する必要があります。

またエアコンのほこりが舞う可能性もあります。対策としては、自動清掃機能付きのエアコンや清掃しやすい構造のエアコンが有効です。設備の機能に頼りすぎず、定期的な清掃を行う事が重要です。

注意点4 温度管理

食品の腐敗を防ぐために、適切な温度を保つことのできる設備が必要です。温度管理には、空調や換気の設備のほか空間の気密性なども検討しておくことが大切です。

温度については自動管理が一般的ですが、運用面でも機械任せにせず、いざというときのために定期的に室温をチェックする仕組み作りが求められます。

温度のほか、製品によっては湿度の管理も重要です。そもそも湿度が高いと細菌が繁殖する可能性が高まってしまいます。

注意点5 製造設備など

製造設備や室内の建材も、汚染の拡大や異物混入を防ぐという観点から注意が必要です。

扉や蛇口は触れずに使えるようなタイプが好ましいと言えます。多くの人が触れる場所は細菌が付きやすく、さらに細菌が付着した場合に拡散される可能性を孕んでいます。しかし例えば、センサー付きの扉や足のペダル操作で水が出る水道などは、手を使う必要がなくリスクを抑えることができます。

また室内の壁・床・天井は、はがれにくい素材なら異物混入を避けることができます。天井は、ホコリのつきにつくい凹凸のない素材が衛生上安心です。

食品工場建設とHACCP

HACCPとは、「Hazard Analysis Critical Control Point」の頭文字を取った国際的な衛生管理手法です。「ハサップ」や「ハセップ」などと読み、日本語では「危害分析重要管理点」と訳されています。工場の設計段階からHACCPを意識することにより、建設後の設備投資を最低限に抑えることが可能となります。

改正食品衛生法案により、2021年6月までに『原則全ての食品等事業者はHACCPに沿った衛生管理に取組むこと』と決められ、すでにHACCP基準の衛生管理が制度化されています。任意だったHACCP導入が義務化されているということです。

HACCPを構築していくための手順が「7原則12手順」で、食品関係の事業者はこの手順を守らなくてはいけません。工場を建設する際にかかわるレイアウトや設備は、この7原則12手順にもかかわってきます。とくに手順4から手順8に当たる、製造工程の把握や危険要因分析・重要管理点・管理基準などに関係します。

建設の時点でHACCPを踏まえておくことで、改善点を減らすことができ追加の費用を削減できます。

食品工場の建設費用

検討段階で費用の目安を知りたいとお考えかもしれませんが、条件によって大きく異なるため見積もりを取るのが最も確実です。とは言え、検討の材料がまったくないわけではありません。検討の参考になる事項を以下にまとめます。

工場建築は素材・構造によって費用に違いがあります。食品工場では「鉄骨造」が多くを占めます。鉄骨造は食品工場に限らず工場建築の大部分を占める構造です。

国交省の2021年「建築着工統計調査」によると鉄骨造の全国平均の坪単価は、69.3万円/坪となっています。ただしこれは食品工場以外も含めた全工場の平均値です。食品工場は換気・温度管理・気密性などについて通常より高い品質・精度が必要なため、費用もかさむ可能性があります。また、工場の形状・地盤の強度などによっても費用は大きく変動します。地域によっても相場は大きく変わります。

メーカーの提示する目安の金額もまちまちです。いろいろなメーカーのサイトを見ると60万~150万/坪の間ぐらいになっていますが、単純な比較はできません。どこまでを標準の費用とするかの基準がメーカーによって異なり、それぞれ違う条件で算出しているからです。

鉄骨造が一般的ということが参考にはなりますが、やはり実際に自社の場合の見積もりを取るのが最も確実です。

食品工場の建設例

実際の建築例を見ないとイメージが湧かないかもしれません。最後に、私どもファクトリアの実績をいくつかご紹介します。

実績1 水産加工工場

たこ加工をメインに、イカ・エビの加工も行う水産加工場です。HACCPを取得するため、「人」「物」の動線、「空気」「水」の流れや製品の特性など細部まで検討を重ね計画を行いました。助成金の活用のサポートも実施しました。

2018年竣工
設計施工
構造:鉄骨造2階建
面積:延床 2,147.40㎡

詳細ページ
浜清水産株式会社様の施工事例

実績2 和菓子製造工場

和菓子を製造する工場です。伝統の和菓子の製法を守りつつ、HACCP対応を意識した衛生的な工場としました。物の動線を一直線にしたり床の勾配を最小限にしたりすることで、作業性を向上する工夫を行っています。ファザードにもこだわりました。

2020年1月竣工
設計施工
構造:鉄骨造1階建
面積:延床 931.18㎡

詳細ページ
株式会社右門第二工場様の施工事例

実績3 食肉加工場

食肉を加工する工場です。動線の最適化を行うなどHACCPに対応。被災地に位置しているため、復興のシンボルとなるように外観にもこだわりました。また太陽光発電ソーラーパネルを設置することで省エネ化を実現。そのほか、助成金の活用のサポートも行いました。

2016年竣工
設計施工
構造:鉄骨造1階建
面積:延床 621.92㎡

詳細ページ
有限会社福相食品工業様の施工事例

実績4 食品加工業

めかぶの加工品を製造する工場です。「人」「物」の流れを一筆動線で計画し、汚染区域から清潔区域への移動を抑制しました。さらに部屋ごとに床を色分けすることにより、汚染エリア・清潔エリアを明確化。震災後の建築であったため、災害に強い建物を実現しました。

2013年竣工
設計施工
構造:鉄骨造2階建
面積:延床 1,901.5㎡

詳細ページ
理研食品株式会社 大船渡工場様の施工事例

実績5 農産物処理加工施設

ワインの醸造工場です。店舗を併設したり工場内に見学通路を設置したりするなど、一般のお客様にも買い物をしたり見学したりして楽しんでいただける地域密着の工場を目指しました。

2006年竣工
施工
構造:鉄骨造2階
面積:延床 2,093㎡

詳細ページ
株式会社エーデルワイン様の施工事例

実績6 スープ製造工場

鶏ガラスープを製造する工場です。スープの原料となる鶏ガラは隣接する食鳥処理工場から調達しており、工場の外観は食鳥処理工場と統一したデザインとなっています。工場内は耐久性・防滑性に優れた塗床を採用し、2階には見学通路を設置しています。明るく開放的な食堂兼休憩室は、可動式間仕切りを設置することで会議室や研修スペースとしても使用することができます。

2020年7月竣工
施工
構造:鉄骨造2階建
面積:延床 2,523.15㎡

詳細ページ
株式会社十文字丸善スープ様の施工事例

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食品工場の建設は衛生面や法律の遵守など注意すべき点も多く、実績が多くノウハウを蓄積している建設会社に依頼するのが安心です。もしも食品工場建設をご検討中なら、ぜひ私ども「ファクトリア」にご相談ください。

ファクトリアは快適な作業環境を実現し、企業価値を高める工場を目指す「工場建設のトータルサービスブランド」です。上記のほかにも、食品工場・冷凍倉庫の実績が多数あります。

設備や動線など作業性や衛生面・HACCP対応などの品質はもちろんですが、明るくおしゃれな社員食堂など、スタッフのモチベーションアップまで考えた提案をさせていただいております。実績でご覧いただいたように、見学できる工場として「見せ方」と安全性や機能性を両立させるのも得意です。

そのほかコスト面でも追加費用の発生を抑えているなど、ご満足いただけるよう取り組んでおります。

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