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工場の管理に役立つ資格とは?管理者系と設備管理系の国家資格・民間資格まとめ

工場でいう「管理」には、「生産管理」「品質管理」「設備管理」「安全管理」などがあります。これらの管理は、専門的な知識が求められるものも多く、資格が必須だったり資格があれば業務を行う役に立ったりします。

この記事では、これらの管理を行うために役立つ資格ついて、国家資格と民間資格とに分けて解説します。工場に勤務していて資格取得を考えている方々、あるいは企業の人事・総務ご担当者様はぜひ参考にしてみてください。

資格は工場の管理に役立つ?

工場の管理の仕事をする際、適切な資格を取得することはいろいろな点で役に立ちます。

まず資格を取得するために安全管理や生産管理の必要な知識を学ぶことで、工場の安全性向上や生産性向上など会社が工場を運営する際にプラスの効果が期待できます。また個人としても、社内での給与アップや昇進、転職に有利などのメリットもあります。資格を持っていることが社内・社外で評価され、待遇や求人市場にプラスとなるということです。

さらに国家資格の中には、該当の資格を取得しないと行うことができない業務もあります。資格を取得することによって、そのような業務を行うことが可能になります。さらに民間資格でも、体系的に知識を得るきっかけにすることが可能です。

管理者系の国家資格

管理者系の国家資格としては、次の4つが挙げられます。

・安全管理者

・衛生管理者

・食品衛生管理者

・食品衛生責任者

1つずつ具体的に見ていきましょう。

管理者系の国家資格|安全管理者

「安全管理者」は、工場や現場の巡回や設備の安全点検、避難訓練の計画・実施などあらゆる安全管理を担当するために必要な資格です。法律により配置することが必要な業種が定められていますが、その中に製造業が入っています。常時50人以上の労働者を使用する工場では、「安全管理者」の有資格者の中から管理担当者としての安全管理者を「選任」する必要があります。規模によっては安全管理者の中から少なくとも1名は「専任」しなければなりません。

安全管理者の資格を得るためには、厚生労働省の研修を終了するか「労働安全コンサルタント」試験に合格しなくてはなりません。研修・試験とも受講資格・受験資格が定められており、学歴や実務経験などいくつかある条件のいずれかを満たす必要があります。また会社から経歴の証明をもらわなくてはならない場合もあるので、会社の協力も必要です。

労働安全コンサルタントの合格率は、年度によって異なりますが20~30%の間が目安です。

管理者系の国家資格|衛生管理者

「衛生管理者」は、労働者の健康を守るために配置することが定められている資格です。また事業所で管理の業務に従事する人を指すこともあります。危険・健康障害の防止、安全衛生の教育、健康の保持増進、労働災害の防止や再発予防などを行います。

従業員が50人以上の事業所では1名、また規模によりそれ以上選任する必要があります。衛生管理者の資格は第一種衛生管理者・第二種衛生管理者に分かれており、粉じんが発生したり重量物や有機溶剤を扱ったりするなどの「有害業務」を行う業種では第一種でないと対応できません。

学歴や実務経験など受験資格の条件がいくつかあり、いずれかに該当することが求められます。実務経験については会社の証明を受けなくてはなりません。国家資格としては比較的合格率が高い資格で、第一種で40~45%前後、第二種で50%前後となっています。

管理者系の国家資格|食品衛生管理者

「食品衛生管理者」は、食品を製造・加工する施設で配置することが必要となる資格です。また同時にその資格を利用して管理業務に従事する人のことをいいます。なお食品関連でも、製造している製品や業態によっては管理者の設置義務がない場合もあります。次にご紹介する「食品衛生『責任』者」との違いは、この「管理者」が「加工・製造」の衛生管理を行うのに対して、「責任者」は「販売・製造」の衛生管理を行う点です。

試験はなく講習を受講すれば資格を取得できますが、学歴や実務経験などによる受講資格が定められています。なお医師や薬剤師などの資格を持っていれば講習を受ける必要はありません。受講だけで取得できるので難易度が低いとも言えますが、大学・専門学校などで専門的な勉強をしていない場合は実務経験が必要となるので注意しましょう。自治体によっては雇用証明書も必要です。また受講料は30万円を超えるため、個人で受講する場合はその負担も大きいと言えます。

管理者系の国家資格|食品衛生責任者

「食品衛生責任者」は、食品製造や飲食店の衛生管理に関する資格です。ここまでに紹介した資格と同様に、資格の名前でもあると同時にその資格により業務を行う人も指します。上記の「食品衛生管理者」よりも配置義務のある施設の種類は多岐に渡りますが、その分取得しやすい資格です。食品衛生法やHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)に基づいて、食品の安全性を確保するために業務を行います。

講習を受講して確認試験を受けることで資格の取得が可能です。学歴や実務経験などによる受講資格が定められていますが、栄養士や調理士などの資格を持っていれば保健所への申請だけで取得できます。

設備管理系の国家資格

設備を管理する業務向けの国家資格としては、次の資格が挙げられます。

・電気工事士

・エネルギー管理士

・ボイラー技士

・危険物取扱者

・電気主任技術者

・機械保全技能士

1つずつ見ていきましょう。

設備管理系の国家資格|電気工事士

「電気工事士」は電気設備や機器の施工・保守・点検など設備管理を行うための国家資格で、電気工事を行うためには必須の資格です。仕事内容は建築電気工事と鉄道電気工事に分かれますが、当然工場での業務は建築電気工事が該当します。また資格は第一種・第二種に分かれており、工場の業務には第一種の取得が求められます。工場での業務の例は、配線のほか空調や受変電設備の工事、製造機械に関わる電気工事などです。

受験資格の定めはないため、学歴や実務経験・年齢などに関係なく誰でも受験できます。第一種・第二種とも学科試験(筆記試験)と技能試験があり、学科に合格しないと技能試験は受験できません。第一種と第二種とで合格率は異なりますが、学科は第一種が40~50%・第二種が50~60%、技能試験は第一種・第二種とも60%強が目安です。

設備管理系の国家資格|エネルギー管理士

「エネルギー管理士」は、エネルギーの効率的な利用や省エネルギーを推進するための資格です。一定以上のエネルギーを使用する工場では、エネルギー管理士の免状を持ったエネルギー管理士を置くことが義務付けられています。エネルギー管理士は、エネルギーの使用状況を改善し、環境保全に貢献できるような施策を立案・実施する業務を行います。資格の取得方法は試験と研修の2つがあり、試験は受験資格がありません。ただし免状交付のためには1年の実務経験が必要となります(試験合格の後でも可)。合格率は30%前後を推移しています。研修は、エネルギー使用の合理化に関する業務に3年以上従事していなければ受講できません。

設備管理系の国家資格|ボイラー技士

「ボイラー技士」は、空調や給湯のボイラー設備の運転や管理業務を担当する専門家です。設備管理に関する国家資格であり、ボイラーの規模などによってはボイラー技士がいない工場ではボイラーを使用することができません。資格は二級・一級・特級のランクに分かれています。どのランクでもすべてのボイラーを扱うことができますが、ランクによって作業主任者になれるボイラーの規模が異なります。なお「ボイラー整備士」も国家資格ですが、整備士は整備のみで運転はできません。

初歩となる二級は受験資格は定められていませんが、未経験で合格した場合20時間の実務研修を受けなくてはなりません。合格率については、二級は50~60%弱ぐらいで比較的高いと言えます。

設備管理系の国家資格|危険物取扱者

「危険物取扱者」は、ガソリンやニトロ化合物など消防法で定められた危険物を取り扱うための安全管理に関わる国家資格です。丙種・乙種・甲種に分かれており、それぞれ扱える危険物が異なるほか無資格者の立会い業務ができるかどうかが異なります。また乙種は扱える危険物別に試験も第1類~第6類に分かれています。ガソリンなど引火性の液体を扱える第4類が企業のニーズも高く、乙種第4類(通称「乙4」)は人気で受験者も最多となっています。

乙種と丙種は受験資格が決められておらず、誰でも受験できます。甲種はいくつかある条件のいずれかを満たす必要があります。合格率の目安は、丙種50%、乙種は乙4のみ40%・その他は60~70%、甲種は40%前後です。

設備管理系の国家資格|電気主任技術者

「電気主任技術者」は、電気設備の保安・監督業務を担当するために必須となる設備管理に関わる資格です。すでにご紹介した「電気工事士」は実際に工事を行うための資格ですが、この電気主任技術者は監督業務を行うためのものであり、電気工事士に指示する立場ということになります。「電験」とも呼ばれ、取扱できる電圧によって第一種・第二種・第三種に分かれています。

資格の取得は試験に合格するほか、学歴と実務経験の条件をクリアしていれば申請だけでも可能です。なお試験の難易度は高く、入門級の第三種でも合格率10%前後です。なお第三種は1次試験(マークシート)のみですが、第一種と第二種は1次試験(マークシート)と2次試験(記述)があります。1次試験の合格率は、第一種が20%前後・第二種が30%前後、2次試験は第一種・第二種とも5~10%程度で、5%を切ることも珍しくありません。

設備管理系の国家資格|機械保全技能士

「機械保全技能士」は、機械設備の整備や保守を行う専門家としての知識と技能を認定する設備管理に関わる資格です。機械の故障を未然に防いだり、効率的な生産を実現するために重要な役割を担います。近年企業のニーズも高まっている資格で、特級・1級・2級・3級に分かれています。また特級以外は「機械系保全」「電気系保全」と「設備診断系」(3級はなし)に分かれていて、希望の選択作業を受験します。

受験資格に関しては級別に学歴・実務経験などの条件がありますが、入門級となる3級は未経験でも受験できます。どの級も、学科試験と実技試験の両方に合格しなくてはなりません。合格率は、3級は70%前後、2級は30~40%、1級は20%強、特級は20%前後となっています。比較的取得しやすいと言えるでしょう。

民間資格

最後に民間資格をご紹介します。

・QC検定

・生産管理プランニング

・生産管理オペレーション

1つずつ見ていきましょう。

民間資格|QC検定

「QC検定」は、製品の品質を維持・向上させるための品質管理に関する検定試験です。1級から4級に分かれており、検定レベルによって品質管理の基礎から専門知識まで幅広い範囲を学ぶことができます。4級が新入社員レベル、3級が中堅社員レベルで、管理職を意識するなら2級以上の取得が目安です。近年社内評価や社内教育の一環として導入する企業が増えており、受験者も増加傾向にあります。

受験資格は特になく誰でも受験が可能で、どの級からでも受験することができます。合格率は、3級で50%前後、2級で20~30%ぐらいです。問題の難易度は回により多少バラつきがありますが、比較的簡単でチャレンジしやすい資格です。

民間資格|生産管理プランニング

「生産管理プランニング」は、生産システムの設計・管理に関する知識を認定する資格です。民間資格ですが、厚生労働省の定める「職業能力評価基準」に準拠した「ビジネス・キャリア検定」の1つです。ビジネス・キャリア検定はどの分野もBASIC級・3級・2級・1級に分かれており、このうち「生産管理」分野の3級と2級がこの生産管理プランニングと次に紹介する「生産管理オペレーション」とに分けられています。なお令和4年度までは生産管理プランニングの2級は試験区分が細分化されていましたが、令和5年度より1つに統合されています。管理業務を目指すなら2級か生産管理1級を狙いたいところです。

受験資格は特にないため、学歴・実務経験・年齢など関係なしに受験が可能です。またどの級からでも受験することができます。2級は統合後の合格率がどのようになるかはまだわかりませんが、令和4年度は2級が40%弱~50%強、3級が60%前後です。試験区分によるバラつきはありましたが、チャレンジしやすいと言えるでしょう。

民間資格|生産管理オペレーション

「生産管理オペレーション」は、生産ラインの統制・運用に関する知識を認定する資格です。上記の生産管理プランニングと同様、「ビジネス・キャリア検定」の1つで、「生産管理」分野の2級・3級が生産管理プランニングと合わせて2つに細分化されたものです。生産管理オペレーションも、2級は令和5年度より細分化されていた試験区分が1つに統合されています。管理業務に活かしたいのなら2級か生産管理1級の取得を目指しましょう。

受験資格はなく、誰でもどの級からでも受験することができます。令和4年度の合格率を見ると、2級の合格率は50~60%程度、3級は約60%となっています。プランニングと同じく、合格率は決して低くなく取得しやすい資格だと言えるでしょう。

工場の管理に役立つ資格を取ろう!

工場の管理と一口に言っても、設備・安全・品質・生産などさまざまな分野の管理があります。国家資格・民間資格合わせて、それぞれの業務のために役立つ資格を取得することで会社にも自分にもプラスとなります。自分に適した資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。

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