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工場の改修・改善

工場・倉庫の屋根はこれだけ知っておけばOK!素材別の解説と有効活用方法

工場や倉庫を建てるとき、屋根は面積も大きいこともあり悩むポイントの1つではないでしょうか。素材ごとのコストや耐久性、修理についてなども事前に確認したいところです。また、近年屋根を有効活用する流れもあり、活用を検討したいご担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、上記のような工場・倉庫の屋根の疑問にお答えします。企業のご担当の方はぜひ参考にしてみてください。

工場の屋根材3種類とは

工場の屋根材には、次の3つの種類があります。

 ・ 波型スレート

 ・ 折板屋根

 ・ 瓦棒屋根

まずそれぞれの特徴について、1つずつ見ていきましょう。

波型スレート

「波型スレート」は、セメントと繊維を混ぜた素材を波形に成形したものです。波の幅が広い「大波スレート」と小さい「小波スレート」があります。規格により大波スレートの波の幅は950mm、小波スレートは720mmと定められています。

以前はどちらも屋根に使われていましたが、近年は屋根に使うのは大波スレートが中心です。小波スレートは主に外壁に使われるようになってきています。

なお2004年以前に作られたスレート材はアスベストが含まれている可能性が高いので、解体する場合など注意が必要です。

折板屋根

「折板屋根」は「せっぱんやね」と読み、角が台形になっているジグザグ状に金属を折り曲げたものです。最近の工場の屋根の主流となっています。工場・倉庫のほか、体育館や自転車置き場などでもよく見かけるのではないでしょうか。

金属は、アルミ亜鉛合金めっき鋼板の「ガルバリウム鋼板」が多く使われます。ガルバリウム鋼板はアルミと亜鉛の特徴を合わせ持ち、従来の鋼板よりも耐久性に優れています。住宅用としても人気がある素材なので、見聞きしたことがあるかもしれません。

瓦棒屋根

「瓦棒屋根」は「かわらぼうやね」と読み、いわゆるトタン屋根のことを言います。ただし「トタン」は資材名で、瓦棒屋根も今はガルバリム鋼板が主流となっています。とはいえ最近では採用例はそれほど多くありません。

一定間隔に心木として「瓦棒」を並べて、上から金属板を取り付けてあります。心木を使わない工法もあります。

以下に、それぞれの素材のメリットとデメリット、メンテナンスの方法についてまとめていきます。

波型スレートのメリット・デメリット

まず、波型スレートのメリット・デメリット、修理やメンテナンスの方法についてまとめます。

波型スレートのメリット

波型スレートのメリットとして、まず耐久年数が長いことが挙げられます。耐久年数は約25年と言われています。そのほか耐火性に優れているため、火災のリスクを減らすことができます。また遮音性が高いのもメリットで、雨の日でも屋内が静かに保たれます。

比較的安価でもあり、扱いやすい屋根材だと言えます。

波型スレートのデメリット

波型スレートのデメリットとしては、砂埃や土埃が付きやすく汚れやすい点が挙げられます。一見風化しているように見える工場の屋根を見たことがあるのではないでしょうか。

また、スレート材自体の耐久性は高いのですが、固定するボルトのサビには注意が必要です。ボルトが錆びたりして欠落し、破損の原因となってしまうことがあります。

さらにすでに触れた通り2004年以前のものはアスベストに注意する必要があります。2004年以降のものは問題ありません。

波型スレートの修理とメンテナンス

波型スレートの修理やメンテナンスの方法には、部分補修(ボルト周り・ひび割れ部分)、塗装、カバー工法、葺き替えがあります。上記の順に安価となっています。

部分補修はボルトの防錆、シーリングを行います。なおシーリングの耐久年数は5年程度と言われています。塗装の場合、10年に1回が目安です。ただし天候などによって前後します。

カバー工法は屋根の上から金属板をかぶせる方法です。詳しくは後述します。葺き替えは最も耐用性が高い方法ですが、廃棄する屋根の処分などの費用も必要となり、コストがかかる難点があります。とくに2004年以前のスレート材の場合、アスベスト対策を行いながら葺き替えなくてはなりません。

折板屋根のメリット・デメリット

次に、折板屋根のメリット・デメリット、修理やメンテナンスの方法についてまとめます。

折板屋根のメリット

折板屋根のメリットとしてまず挙げられるのは、ジグザグになった形状によって強度が高い点です。またガルバリウム鋼板の場合は耐用年数が20~30年と長いのもメリットです。水が流れやすく耐水性が高いというメリットもあります。

さらに軽量なので建物への負担が少なく、耐震性が高いという点も挙げられます。コスト面でも、加工しやすいほか下地が不要なので低コストでの工事が可能です。

折板屋根のデメリット

折板屋根のデメリットについては、ガルバリウム鋼板以外の素材の場合錆びやすいということが挙げられます。とくにボルトで固定する「重ね」工法の場合は錆に注意が必要です。

また、折板屋根の裏側がそのまま屋内の天井部分になるため、断熱性が低いのもデメリットです。冬場に石油ストーブを使うと結露の原因にもなります。同じ理由で雨音などが直接屋内に響きやすく、遮音性が低いこともデメリットとして挙げられます。

折板屋根の修理とメンテナンス

折板屋根の修理とメンテナンスの方法も、部分補修、塗装、カバー工法、葺き替えがあります。上記の順に安価になります。

部分補修は、シーリング材充填や防水テープの貼り付けなどです。あくまで応急処置と考えましょう。塗装は錆など劣化予防のメンテナンスです。こちらも修理ではないので、雨漏りしてしまったあとに塗装しても雨漏りを防ぐことはできません。

塗装は15年ごとが目安ですが、年数より状態優先で判断しましょう。なお塗装をDIYで行うケースもありますが、塗装前のケレン(錆落とし)などかなり重労働となります。楽ではないという点は認識しておく必要があります。

瓦棒屋根のメリット・デメリット

最後に瓦棒屋根のメリット・デメリット、修理とメンテナンスについてまとめます。

瓦棒屋根のメリット

瓦棒屋根は、軽量かつ1枚が長尺なので耐震性が高い点がメリットです。また材料費が安く施工が簡単なので、コストを抑えることもできます。さらに継ぎ目がないため雨漏りしにくいのもメリットです。

瓦棒屋根のデメリット

瓦棒屋根のデメリットとしては、金属を使うため断熱性が低い点があります。また遮音性が低いのもデメリットです。やはり雨音が気になるかもしれません。

また基本的に瓦棒が濡れてしまうことはほとんどありませんが、軒の部分だけは濡れてしまうリスクがあります。濡れた場合は瓦棒の木材が腐食しやすいのもデメリットです。もちろん心木を使わない工法の場合はこのリスクは関係ありません。

瓦棒屋根の修理とメンテナンス

瓦棒屋根の修理とメンテナンスの方法は、安価な順に塗装、カバー工法、葺き替えがあります。

折板屋根と同じく、塗装はあくまで予防です。穴が空いたら塗装では対応できません。塗装は塗料の材質で塗り替えの時期が異なります。アクリル塗料なら5~8年、ウレタン塗料なら8~12年が目安です。

葺き替えの場合は、トタンの重量を前提に建物を設計してあるため、金属系への葺き替えのみとなります。ガルバリウム鋼板は価格がトタンと同程度ながら機能性が高いため、ガルバリウム鋼板に葺き替えるケースが増えています。

カバー工法とは

「カバー工法」とは、既存の屋根はそのままにして上から金属の屋根を重ねて二重葺きにする方法です。工場の屋根の場合、コストパフォーマンスなどの理由からほとんどの改修工事で採用されている方法です。

屋根が二重になるので、耐熱性・防水性などが高まるというメリットがあります。また廃棄が出ないため産業廃棄物の処理費が不要で、なおかつ工期も短くて済むというメリットもあります。工場の稼働を止めずに施工が可能なのもメリットです。葺き替えは稼働を止めなくてはいけない場合があります。

デメリットとしては、屋根の重量が増して耐震性が低くなる点があります。また建物の構造によっては施工できない場合もあります。さらに技術的に高度な作業が必要なため、施工できる職人が少なく施工まで待たされることもあるようです。

屋根の有効利用方法

工場の場合、屋根を有効利用する流れが近年起こっています。具体的には次の2つの利用方法があります。

 ・ 太陽光発電

 ・ 屋根緑化(屋上緑化)

どちらも、近年企業にも対応が求められているSDGsに関わります。直接利益に関わるメリットはもちろん、企業イメージのアップのような間接的なメリットもあります。それぞれについて見ていきましょう。

方法|太陽光発電

屋根を太陽光発電に活用する場合は、屋根の上に太陽光発電のパネルを設置します。どんな屋根の場合に可能なのか気になるかもしれませんが、ほとんどの屋根材が対応可能です。とくに折板屋根は地上に設置するより低コストに抑えられる可能性が高くなります。ただしどの屋根材も、建物の強度によっては補強工事が必要になる場合もあります。

パネルを設置した工場で消費する「自家消費」ほか、電力会社に売電する方法もあります。

太陽光発電のメリット・デメリット

太陽光発電のメリットとしては、まず電気代削減が挙げられます。3割減が目安と言われています。また電気代高騰のリスクヘッジにもなります。余剰電力を売却することも可能です。もちろん設置にはコストがかかりますが、6年前後で工事代を回収できる場合が多いです。ただし規模などによるので、実際に導入する際には自社の場合にどうなるか計算が必要です。

SDGsへの取り組みの一環として対外的にアピールすることもでき、イメージアップにもつながります。税制の優遇措置もあります。

デメリットとしては、初期費用が掛かることが第一に挙げられます。また定期的なメンテナンスが必要です。そのほか、発電量が天候などに左右される点もあります。蓄電池などで安定化・平均化を図る必要があります。

さらに屋根にパネルを固定する際、固定方法によっては屋根に穴をあける場合もあります。施工の出来によっては雨漏りの原因になってしまいます。また導入する場合はあらかじめ加入している保険の内容を確認しましょう。火災保険の適用外になることもあります。

太陽光発電の費用の目安

設置費用については、経済産業省の報告書によると1kW当たりの設置費用は25万円程度となっています。規模によりますが、総額で2,500万~5,000万円程度かかります。内訳はパネルなどの設備費・工事費・設計費などです。なお金額は経済産業省のデータによる平均値で、実際は業者によって幅があります。信頼度などを含めてトータルで判断することが必要です。

そのほか蓄電池を設置する場合はその費用もかかります。産業用蓄電池は数百万円からと高額です。そのため、企業でも家庭用の比較的低価格の蓄電池を利用するケースもあるようです。

方法|屋根緑化(屋上緑化)

「屋根緑化」「屋上緑化」は、屋上に植物を植えることです。工場の場合は屋上に直接土を入れて植物を育てるのではなく、植物を植えたトレイを設置することが多くあります。屋根緑化はヒートアイランド現象の対策として注目されています。

工場敷地内の緑地の面積の割合などを定めた「工場立地法」では、屋上緑地も緑地として認められています(緑化面積の1/4まで)。工法や技術が多様化しており、いろいろな屋根材に対応する方法が開発されています。たとえば、金属屋根の上に植物を植えたトレイを設置する、発泡スチロールとコケを一体化させたボードを設置するなどです。方法によりますが、屋根材は選ばないと言えるでしょう。

屋根緑化のメリット・デメリット

屋根緑化のメリットとしては、工場敷地の有効利用につながることが挙げられます。緑地面積の割合は法律で定められています。緑地の一部を屋根に移すことで、地上にスペースが生まれて設備として利用することが可能です。そのほか、屋根に直接日光が当たることがなくなるため、断熱性が高まったり屋根の劣化防止につながったりすることが挙げられます。また環境対策を行っている企業としてイメージアップになるといったメリットもあります。

デメリットとしては、屋根の重量が増して建物に負担が大きくなる、メンテナンスが必要といった点があります。さらに樋やドレンなど排水部分に土が溜まって、錆やコンクリートの破損・雨漏りなどの原因になる可能性もあります。

屋根緑化の費用の目安

屋根緑化の費用については、方法にもよりますがトレイ式の場合2万円/㎡ぐらいからが目安となります。ただしランニングコストも必要となるため、導入以降の費用も考慮に入れる必要があります。

助成金があるので助成金を利用した場合も試算してみましょう。また、断熱効果が高まった場合には空調費が削減できる可能性もあります。業者に事例をヒアリングして、光熱費への効果があるようならそれも反映させて試算を出しましょう。

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工場建築で屋根の素材や活用方法でお悩みなら、私ども【ファクトリア】にぜひご相談ください。ファクトリアは快適な作業環境を実現し、企業価値を高める工場を目指す「工場建設のトータルサービスブランド」です。

新築の場合は、制限が少ない中でのご提案が可能になります。ご希望の屋根材のデメリットを解消する設計や屋根の有効利用にも対応しやすくなります。品質はもちろんですが、コスト面でも追加費用の発生を抑えています。

ご興味おありの場合・ご質問のある場合は、お気軽にお問い合わせください。

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