食品工場の清掃方法まとめ!具体的な方法やポイントを解説
食品工場の清掃・衛生管理は、製品の安全・安心に直結する重要な課題です。清掃を怠ると、製品の品質や安全性に悪影響を及ぼすだけでなく、消費者の信頼を失うことにもつながります。
しかし、食品工場の清掃は単に汚れを落とすだけではなく、それぞれの工場の特性や取り扱う製品によって異なるポイントが存在します。
本記事では、食品工場における清掃の必要性や具体的な清掃方法、食品工場の清掃を効率的かつ有効に行うポイントなどを解説していきます。
これから始める方もすでに実践している方も、清掃の重要性を再確認し、より効果的な方法を学ぶことで工場の衛生管理を一層向上させましょう。食品製造現場で働く方、衛生管理に携わる方は必見です。
食品工場における清掃の必要性
食品工場において清掃は、衛生的で安全な運営に不可欠な要素です。特にHACCPの義務化に伴い、5S活動(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)がますます重要視されています。
清掃作業は単なる掃除とは異なり、従業員の教育による整理整頓から始まる一連のプロセスです。適切な清掃は、異物混入や労働災害のリスクを大幅に低減し、食品の安全性を高めることに直結します。
関連記事:食品工場の衛生管理は生命線!HACCPや5S、身だしなみのポイントを整理
食品工場の清掃方法
早速、食品工場において特に清掃が重視される部分について、清掃方法を場所・モノ別に見ていきましょう。
①製造機械・製造設備
製造機械の清掃は、食品の衛生を保つための基本です。まず、油漏れや汚れ、ゴミの蓄積がないかを定期的にチェックすることが必要です。部品の劣化や異物混入を避けるために、小部品まで細かく確認しましょう。
ただし、機械の内部清掃は専門業者への依頼が賢明です。専門的な技術を持つ業者が行う清掃で機械の性能維持と異物混入の予防が可能となります。
②調理器具
調理器具、特に包丁とまな板は直接食品に触れるため、衛生管理が極めて重要です。包丁は食材毎に区分けし、サビや損傷を確認して適宜交換を行う必要があります。
まな板も同様に、調理する原材料や調理工程ごとに専用のものを用意し、特に木製のものは経年劣化によって木くずなどが出やすいため注意が必要です。これらにより交差汚染を防ぐことができ、食品の安全を守ることにつながります。
③部品・工具類
食品工場では、使用しない部品や工具類を整理することが重要です。不要な部品は適切に処分し、必要なものは整然と保管することで、探す手間と紛失のリスクを低減できます。
この整理整頓は、工場内の効率的な運営にもつながるため、定期的な点検と見直しを行いましょう。
④ロッカー
ロッカーにおいては書類の整理が重要です。頻繁に使用する書類とそうでないものに分けて整理し、迅速にアクセスできる状態を保ちましょう。
書類の整理は、運営効率の向上に直結し、工場全体の業務を円滑に進める要因となります。個人のロッカーでもこの原則を適用することが求められます。
⑤配管・配線
工場内の配管や配線は、定期的なチェックとメンテナンスが不可欠です。ペンキの剥がれや漏れ、サビがないか注意深く確認し、必要に応じて修理または交換を行います。
配管や配線が損傷すると、製品の品質に影響を及ぼす可能性があるため適切な管理が重要です。
⑥排水口・排水溝
排水口と排水溝の清掃は、食品残渣の蓄積による害虫発生を防ぐために欠かせません。目視で確認できるゴミを取り除き、専用洗剤での洗浄、さらに殺菌漂白剤による消毒を行います。
内部清掃が必要な場合は、専門業者に依頼し、工場全体の衛生環境を保ちましょう。
⑦手洗い設備
手洗い設備の清潔さを保つことは、職場の衛生レベルを左右します。設備が正しく清掃されているか確認するとともに、従業員が適切な手洗い手順を守っているかを監視しましょう。
これにより、食品の安全と従業員の健康を確保することが可能となります。
⑧床(足元)
食品工場の床は水分や食品残渣が多く蓄積しやすいため、定期的な清掃が求められます。
日々の清掃が容易になるように、適切な材質や排水用の勾配を備えた床構造も重要です。また、ウェットエリアかドライエリアか、熱湯は使用するか、溶剤は使用するかなどそのエリアの特性に応じた床材の選定も重要です。
定期的なメンテナンスも重要で、経年劣化により汚れがたまりやすくなると、カビや害虫の繁殖を招くリスクが高まります。
関連記事:工場の床の基礎知識|種類別の特徴・掃除の方法など【塗装・シート・タイル】
⑨天井(頭上)
天井の清掃は、特に見落とされやすい場所ですが、工場内の安全を守るために重要です。定期的に天井を点検し、落下物がないか確認することで事故の未然防止が期待できます。
天井の汚れは視認が難しいため、特にエアダクトや照明器具周辺の確認を徹底しましょう。
また、天井に限らず、普段気付きにくい頭上の確認を怠らず、汚れや虫、ほこりの蓄積がないように徹底的に確認しましょう。
⑩隙間
工場内のちょっとした隙間から虫やネズミ、風雨が侵入することがあります。これらの侵入を防ぐために、隙間がないか定期的にチェックし、必要な対策を講じることが大切です。
防虫・防鼠の措置を講じ、万一侵入が確認された場合は、速やかに対処するように心がけましょう。
⑪掲示物
食品工場内の掲示物は、汚れや変色、剥がれがないか定期的に点検し、必要に応じて修復または新しいものに交換しましょう。掲示物の状態が悪化していると、情報伝達の効率が低下し、安全性に影響する可能性があります。
掲示物を常に清潔で見やすく保つことで、作業効率の向上と安全な作業環境の維持が可能です。
⑫テープ類
工場内ではテープ類が多用されており、これらの切れや剥がれなどを定期的にチェックすることが重要です。状態が悪いテープは速やかに修理または交換し、工場内での表示が常に正確で明瞭であるように心がけましょう。
例として、床や壁に貼られたラインテープが剥がれていると、通行の安全を阻害したり、清掃の妨げとなることがあります。
⑬害虫・害獣
工場内で害虫・害獣の侵入が確認された場合、完全に排除することは困難に近いと言えます。設置した罠での捕獲は限定的でしかなく、大量発生時には専門の駆除業者の対応が必要不可欠です。
未然に侵入を防ぐための対策を徹底するとともに、侵入が確認された際の迅速かつ専門的な対応が求められます。
⑭健康管理・服装(ユニフォーム)
工場内で着用するユニフォームは常に清潔で整備されていることが必須です。汚れたユニフォームは、食品や工場環境に二次汚染を引き起こし、重大な衛生リスクを伴う可能性があります。
従業員にはユニフォームの重要性を認識させ、継続的に自己点検を行わせることで、衛生意識を向上させましょう。また、施設内での適切な洗濯や保管方法を徹底し、共通の衛生基準を守ることが求められます。
食品工場の清掃を効率的かつ有効に行うポイント
食品工場での清掃は、食品の安全性を確保するために非常に重要です。ただし、清掃に時間をかけすぎては生産効率が落ちるため、効率的に行う方法が求められます。
ここでは、効率的かつ効果的な清掃を行うためのポイントを紹介します。
モノの置き場所を決めておく
清掃の基本は整理整頓です。食品工場で効率のよい清掃を実現するためには、まずは整然とした環境を維持することが重要です。各物品の保管場所を事前に決めておくことで、使用後には元の場所に戻すだけで自然と整理整頓が維持されます。
職場全体で整理整頓の基準を統一することで、どこに何を置けばよいかを全員が理解し、効率的に対応できるようになり、結果として清掃の手間も減少します。
関連記事:工場の整理整頓の重要性|5Sの目的やメリットと取り組み方のコツ
作業場ごとに適切な清掃用具を用意する
作業場ごとに適切な掃除用具を準備することもポイントのひとつです。全エリアを同じ掃除用具で清掃すると、交差汚染や汚れを拡散させる可能性があります。例えば、作業台と床では異なる道具を用いることが望ましいです。
さらに、掃除道具を区別しやすくするために、バケツや雑巾の色分け、洗剤のボトルを異なる色にする工夫が有効です。これにより、掃除の際に誤った道具を使うリスクが減少し、効率が向上します。
すぐ手に取れる位置に清掃用具の保管場所を設定する
清掃用具はすぐ手に取れる場所に置いておくと、清掃忘れを防ぐことができます。更衣室から作業場に移動する際やトイレから戻る際に衣服に付着したほこりを落とすためにも、清掃用具がすぐ近くにあることが大切です。
こうすることで、清掃を思い立ったときにすぐ行動に移せて、清掃がしやすくなります。工場内のどの位置からも清掃用具にアクセスしやすい配置を考慮することが、清掃の効率化のポイントです。
清掃手順をマニュアル化する
食品工場の清掃作業を効果的に進めるためには、清掃手順の標準化とマニュアル化も重要です。
これにより、すべての従業員がどの場所をどの順序で、どのように掃除するべきかを理解でき、統一された清掃が実現します。
器具や調理用具の消毒も忘れない
清掃に加えて、器具や調理用具の消毒も重要です。特に食品工場においては、器具を清潔に保つことは不可欠です。
最も手軽な消毒方法は熱湯を利用することで、熱処理は効果的に病原体を除去します。消毒用の特別な洗剤を使うなど、適切な管理を行いましょう。
廃棄物はこまめに正しく処理する
廃棄物の放置は、害虫や害獣を寄せ付ける原因となるため、徹底的な管理が求められます。排水口や機械に生ゴミが残らないよう作業後のチェックを怠らず、ゴミ箱も清潔に保ちましょう。
また、ゴミ箱の蓋が確実に閉まっていることを確認することで、外部からの不必要な侵入を防ぎ、工場内環境を常に良好な状態に保つよう努めます。これが結果として工場全体の衛生管理の向上につながります。
清掃を専門業者に依頼する方法もある
食品工場における清掃は、その規模や使用する機械の性質によって難易度が異なり、業者に依頼するのも一つの方法と言えます。しかし、全てを業者に任せるとコストが高くなるため、どの部分を専門業者に依頼するかを選定することが重要です。
業者への依頼がおすすめの清掃場所
次に紹介する場所は業者に依頼することで、工場内の衛生状態を高いレベルで維持できます。業者への依頼がおすすめの清掃場所について具体的に見ていきましょう。
機械内部
現在の食品工場では、多くの工程が機械化されていますが、その機械内部は非常に複雑で清掃は容易ではありません。特に機械の内部に食品の残渣や異物が溜まると、生産効率が低下したり、不良品の発生原因となったりします。
このため、専門の業者や機械のメーカーに定期的なメンテナンスと内部洗浄を依頼するのがおすすめです。業者によってはアフターケアとして、定期的に清掃を行ってくれるところもあります。
排水口内部
食品工場では、食材のカスや脂肪分が排水口に流れ込みやすく、長期間放置しておくと詰まりを引き起こすことがあります。排水口内部の清掃は、通常の清掃道具では行き届かないことが多いため、専門業者への依頼が効果的です。
定期的に業者に依頼することで、排水がスムーズになり、工場内の不快な悪臭・害虫の発生や侵入を未然に防げます。
害虫や害獣の駆除
食品工場における害虫や害獣の発生は、製品の品質に悪影響を与えるだけでなく、衛生面でも取り返しのつかない問題となります。
害虫や害獣は一度発生すると、完全に駆除するのは非常に難しいものです。また予防的措置も必要となります。専門業者に依頼すれば、プロの知識と経験を活かした効果的な対策が可能です。
食品工場の清掃を専門業者に依頼するメリット
最後に、先に紹介した3つに限らず、食品工場の清掃を専門業者に清掃依頼するメリットについて見ていきます。
食品事故のリスクを抑えられる
食品工場では衛生管理が最も重要です。専門業者に清掃を依頼することにより、工場内の食品と直接関わる部分だけでなく、共用スペースや工場外のエリアまでしっかりと清掃されます。
これにより、微小な汚れが原因で発生するカビや害虫の繁殖を防ぎ、食品事故のリスクを大幅に削減することができます。特に普段あまり注意が向かないエリアでの清掃が行き届くことで、安心安全な食品工場運営を実現できるでしょう。
本来の業務に集中でき、効率アップを図れる
日々の清掃にかかる時間を削減し、その分を本来の業務に充てることができるため、効率的に業務を進行させることが可能となります。これにより、生産性の向上だけでなく、新たな商品開発や改善業務など、より重要な部分に従業員の時間を活用することができ、工場全体の成長に期待できるでしょう。
また、清掃業務を外部委託することで、従業員は自分たちの専門分野に集中し、高い成果を上げることができる環境が整います。
清掃の仕上がり・コストが一定になる
従業員で掃除を分担するとどうしても清掃の質にばらつきが生じがちです。さらに、業務の忙しさにより、清掃が疎かになることも少なくありません。
その点、専門業者に依頼することで安定した高品質の清掃が期待でき、コストも一定に保たれます。これにより、工場の衛生基準が一定に維持されるとともに、予算管理も容易になるでしょう。
作業や清掃用具の管理負担を軽減できる
専門業者に日常清掃を依頼することで、従業員の管理負担が大幅に軽減されます。
特に、清掃用具の準備や管理、共有部分の状態確認などの手間が省かれるため、管理者は他の重要な業務に注力できるようになります。
従業員のモチベーションアップ
専門業者への清掃外注により、従業員が清掃業務から解放されることにより不満が減少し、モチベーションが高まることもよくあります。
また、常にクリーンで整然とした環境で働くことができるため、仕事への満足度が高まり、従業員の士気が向上します。これにより全体のパフォーマンスが向上し、働きやすい職場環境が整うのです。
適切な清掃方法を見つけて、衛生レベルの高い食品工場運営を!
食品工場における清掃は、製品の安全性・消費者の安全・企業の信頼に直結する重要な要素です。本記事で紹介した清掃の方法やポイントを押さえて、衛生レベルの高い工場運営を実現しましょう。
なお、私ども【ファクトリア】は工場のトータルサービスブランドです。清掃方法の最適化はもちろん、HACCPに基づいた衛生管理システムの構築など、お客様のニーズに合わせたご提案をいたします。
食品工場の衛生・清掃に関するお悩みがありましたら、お気軽にファクトリアにご相談ください。
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