Factoria

■ ファクトリア導入事例 - 安岡蒲鉾

安岡蒲鉾 安岡弘和氏にファクトリアに工場建設を依頼した経緯とその効果について詳しく聞きました。

(安岡蒲鉾について)

安岡蒲鉾は愛媛県宇和島市の水産会社です。宇和島特産のじゃこ天が主力商品です。創立昭和27年、従業員数45名

(※ この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています)

■ 絶対うまい、宇和島のじゃこ天

− 宇和島のじゃこ天は有名ですね!

はい、宇和島産は、普通の蒲鉾やいわゆる「さつま揚げ」とは、原料も作り方もちがうんです。ふつうは、原料の魚のすり身は仕入れた冷凍ものを使う。でも宇和島のじゃこ天は、早朝、宇和海で水揚げされたほたるじゃこ(地元名は『はらんぼ』)を、その日のうちにすり身にして作ります(この製法で作らないと「宇和島じゃこ天」は名乗れません)。全国でも、朝どれの魚を原料にしているのは宇和島を含めて 国内でもごく僅かです!

原料のほたるじゃこ(はらんぼ)

− かまぼこといえば、仙台の笹かまぼこも有名ですよね。

笹かまぼこととじゃこ天は、実は「兄弟」なんです。宇和島の初代藩主は伊達政宗の長男、秀宗で、仙台から来るとき、かまぼこ職人も呼び寄せました。それが宇和島じゃこ天のはじまりです。新鮮な魚と最高の技術を合わせてつくるじゃこ天に、私も社員もみんな誇りをもっている。絶対、うまい! これからは海外への販売も行ってまいります!

宇和島のじゃこ天をもっと全国に、世界に広める。安全安心でおいしいじゃこ天やかまぼこを提供するために最新の機能を備えるとともに、伝統技術の継承ができる環境づくりを目指した工場です。

■ 新工場のコンセプト

− どんな工場を建てたのでしょうか。

外観はこのとおりです。ウチは水産会社ですが、海から10キロ離れた山中の工場です。周囲の田園風景と調和する外観にしました。

工場のコンセプトは2つあります。一つは「お客様が遊びに来られる工場」、 もう一つは「清潔と効率を、”動線”を通じて実現する」です。

■ 「お客様が遊べる工場」

− 「お客様が遊びに来られる工場」とは具体的には

新工場にはじゃこ天の直売所があります。じゃこ天を見学できるし、時には自分でじゃこ天を作ることもできます。

こちらは直売所です。旧工場の頃から、お客様がわざわざ工場に来てじゃこ天を買っていくことがよくありました。そこで新工場には直売所を併設しました。

直売所

直売所から、そのまま通路を進んで「工場見学」できます。一直線の通路を歩きながら、最初から最後まですべての工程のじゃこ天づくりが見学できます。

見所は、魚を手でさばくところです。ここは生魚からすり身をつくる、ウチならではの見せ場です。お客様からは「こんな風に作ってるんですね!」と驚かれました。

地元の学校や団体の見学も積極的に受け入れています。宇和島には、こんな美味しいものがあるんだと知ってほしいからです。研修室では、「じゃこ天の手づくり体験」もできます。

■ 「動線で清潔と効率を実現する」

− 「清潔と効率を、”動線”を通じて実現する」とは。

出勤から作業まで動線を一直線にする。後戻りしたり、うろうろしたりしない(できない)ような設計にする。そうして清潔と効率を自然に実現します。 具体的には、「出勤して工場にいくまでの動線が一直線」、「魚を仕入れて、、さばいて、練って、焼いて、冷やして、包装して出荷するまでの動線が一直線」です。

まず、「出勤して工場にいくまでの動線」は、次のとおりです。

1.クルマを降りて会社に入る。2階に上がる。

2.まず手洗いに行く。

3.男女別々に更衣室に行って着替える。

4.1階に降りる。

5.サニタリールームで手洗い・消毒して清潔を確保。

6.工場エリアに入室。作業開始。

この他、2階には休憩・食事室を設けました。旧工場に専用のスペースはなかった。でも新工場は見晴らしの良い2階でゆっくりとくつろげるように広いスペースを確保し、横になって休むことも可能な小上がりのスペースも設けました。ちょっとした差別化が採用促進にも繋がります。

■ 出勤して着替えて工場に入るまでが一直線

− 「魚を仕入れて、じゃこ天にして、出荷するまでの動線が一直線」とは?

以下の図は、工場の動線を示しています。

図1:工場の動線は一直線

建物の右の搬入口から、「原料(生魚)を入庫し」「さばいて」「練って」「成形して」「加熱して」「冷やして」「包装して」、左の搬出口から「出庫」します。この動線は右から左に一直線で、途中、後戻りすることはありません。

1.「もっとも気を使って作った、『魚のさばき場』」

以下の写真をご覧ください。これが図1の右端、「毎朝、魚を搬入して、さばく場所」です。

ここは生魚を扱う場所なので、清潔、防菌、防虫に最大限、気を使いました。まず壁と床の境界は必ずRをつけました。ここが直角になっていると汚れが溜まります。掃除して確実に洗い落とせるよう、曲面にしました。床には緩やかな勾配をつけ、水が自然に排水口に向かうようにしました。排水口の内部にもRをつけ汚れを溜めないようにしました。

ステンレス製の蓋+ゴミかご+泥溜まりを無くした会所桝

2.「作業エリアごとに壁で区切る。空調温度を変える」

さばき場の隣が「練り場」、石臼の機械ですり身を練る場所です。魚のさばき場とは壁で区切られており、容易に行き来はできません。これは、さばき場と練り場では、要求される清潔水準や空調設定温度が異なるからです。その他のエリアも壁で区切り、衛星管理面や交差汚染を考慮して設計しました。

3.「床の色を変える。自然に清潔区域を意識付けさせる」

工場では床を色分けしました。さばき場と練り場は緑色、成形場と焼き場は赤色、冷却機を置く床は黄色です。従業員は自分の作業場より清潔度の高い区域には原則立ち入ってはいけません。清潔確保を自然に意識させるために床を色分けしました。

4.「設備から逆算してレイアウトする」

今回は、まず、どんな機械をどこに配置するかを想定し、そこからレイアウトを逆算しました。壁が多い仕様なので、そうしないと上手に設計ができません。もちろんメンテナンスや新設備導入のための、機械用の搬入搬出口も設けています。

■ タカヤを選んだ理由

− 新工場の建設会社にタカヤを選んだ経緯を教えてください。

タカヤのことはネット検索で知りました。ホームページを見ると、水産会社の実績が多い。なかなか良い工場を建てている。さらに調べると、なんと四国の松山に支店がある。これは問い合わせるしかないと思い、電話しました。

その後、タカヤを含め、数社の建設会社を比較しました。比べた基準は次のとおりです。

基準1. 「クリエイティビティがあること」

今回は私の方で最初に基本的な外観やプラン(絵図)を書き、この工場で何を実現したいかをよく伝え、その「想い」を形にしてもらう、という形で工事を進めました。一直線の動線や、直売所から工場への直結見学通路は、ぼんやりとしたイメージしかなかったので、具現化は建設会社にお願いすることになります。私の思いをよく理解し、親身に相談に乗ってくれ、その上で安全や清潔や効率を実現する、そんなクリエイティビティと堅実さを兼ね備えた建設会社を求めました。

基準2. 「HACCP準拠の実績」

今回の工場はHACCP対応が必須です。建設会社には、水産関係でHACCP準拠の工場を建てた実績を多く持つことを求めました。

基準3. 「行政との折衝に関するコンサルティング能力」

今回の工場は田んぼをつぶして建てたのものです。近辺は農業振興地域なので、農地から工場への転用は極めて困難ですが、じゃこ天工場は地元宇和島の食文化の振興につながることなので、ていねいに説明、申請すれば何とかなります。とはいうものの、行政への説明、申請は煩雑で大変です。この部分の知見、知識、経験のある建設会社を求めました。

これら条件で比較した結果、タカヤが最も優れていました。特にクリエイティビティとコンサルティング力が良かった。タカヤに決めました。2018年7月着工、翌年5月末に竣工。ついに新工場が完成しました。

本当に求めていた工場が建ったと思います。工場見学に来た高校生が「ここに就職しようかな」と言ってくれました。安岡蒲鉾は、ひきつづき美味しいじゃこ天づくりに邁進します。タカヤさんも、全国の水産関係者のために、すごい工場を建ててください。おたがい頑張りましょう!

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